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レトは迷わず目をとじ、大きく跳躍してその場から離れたあと、目を開く。そして、辺り一面に立ちこめた霧を見た。
「あらら…。」
全然困っていないような声音。どこか楽しそうにも聞こえ、実際口を笑みの形にした。
レトは再び目を閉じ、霧に潜み機会をうかがっているはずの二人の気配を探る。
風の動きに合わせ短剣を滑らせる。その切っ先はラセの首に突きつけられていた。
しかし。反対側から飛び出してきたユンの持つ大剣が、過たずレトの心臓を貫いていた。
それで決まった。
「負けた。」
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