序 竜の住む塔

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そこはとても高い、先が見えないほど高い塔の一室。装飾の少ないけれど広い殺風景な部屋に、少年が入ってきた。ここは少年の自室なのだろう。安心した様子で、運動でもしていたのか汗だくのほてった身体を冷やそうと、ベランダへの扉を開ける。 灰色の双眸が見開かれた。そこには先客がいた。 「君は一体…?」 薄い桃色の長い髪が印象的な、自分よりは二、三歳は幼い少女がそこに座り込んでいた。しかし少年の言葉に、少女は何も反応を返さない。
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