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「花姫様を、止めてください!お願い、します!」
こちらに近付きながら、ラセは必死で頼む。エリュトはすぐに漆黒の翼を広げ、レトを追った。
蝶の羽と、竜の翼では速さは比べるべくもない。易々と追いついたエリュトはレトの腕をつかむ。しかし、かなりの力でその手は振り払われた。
「帰らなければいけないの。邪魔をしないで。」
彼女のものとは違う意思が、その瞳に宿っている。
レトの首に掛かる一つだけ残ったペンダント。そこにはまった石に、音を立ててひびが入った。
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