序 竜の住む塔

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ドアが激しく叩かれた。 少年が鍵を開ける前にドアは乱暴に蹴り開けられて、長身の男が入ってきた。ドアと共に吹き飛ばされた少年は顔を上げ、息をのんだ。 その男が、ボロボロだったからだ。全身に傷を負い、右腕は肩から先がない。左腕もだらりと垂れて、そこからぽたりと落ちる血が絨毯にしみを作った。着ているコートは原型を保っていなくて、元がどんな色だったか分からないほどどす黒く染まっている。背中の翼は片方が無く、もう片方もおかしな方向に曲がっていた。そして何より…。
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