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「お前、さっきから煙草吸いすぎやぞ」
「あ、ああ、すまん、煙たかったか?」
「別にそういうわけやないけど…」
福田は、喫煙家やないけど嫌煙家ではないと公言しているから、煙たいから吸うな、とは言わへんのやろうけど。
灰皿からあふれ出しそうになって居る吸殻を見て、流石に吸いすぎたかと自覚した。
「渋滞でイライラすんのはわかるけど、ほどほどにしとき」
「おん」
言われて、手にしていた煙草を消す。
ふと、煙たいんやなかったら、何で吸いすぎやなんていうたんやろ、と思った。
前の車が動かないのをいいことに、福田を盗み見る。
別にすることもないからか、福田は窓の外を眺めている。
さっきの言葉は、俺の身体を気遣って?
福の横顔に、そんな考えが浮かぶ。
「福」
「ん?」
「ありがとな」
「へ?」
いきなりなに?と言ってこちらを向いた福田と、至近距離で視線があう。
まぁ、俺が顔近づけたからなんやけどね。
振り向いた福が、その顔の近さにビクリと肩を揺らした。
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