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少年は紙を手に取り、ひとつひとつ料理の名前を見ていく。
「う~ん。どれにするかな」
そう悩む少年はあるものを発見する。
それは他のものと比べると無駄に飾り立てられた、店長オススメと書かれた一品だった。
「これは?」
「ん?あぁそれは見ての通り俺のオススメだ」
少年がオススメの部分を指差して言うと、男はよほど自信があるのかニンマリと笑った。
「ん~じゃあ俺はそれにしようかな。シェリスはどうする?」
少年は持っていた紙を隣に座る少女の方へ向け、尋ねる。
シェリスというらしい少女は、だがその紙は受け取らず、一度横目で見るとすぐに目線を外した。
「私はフェイルと同じので良い」
カウンターに乗せた肘から突き出る手に顎を乗せたまま、目線すら合わさずに言う、あまりにもぶっきらぼうな態度。
その態度にフェイルという少年は内心ため息を吐いた。
「じゃあこのオススメを二つで」
「おう。腕によりをかけて作るからな。待ってろよ」
フェイルが注文をすると、男は豪快な笑顔を残して厨房へと去って行った。
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