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声が届いた相手は刑期を終え行く宛てもなくさ迷っていた元囚人の男だった。
「お前も生まれてきてはいけなかったのか?」
「オギャー、オギャー…」
「まぁ、そう泣くなよ。俺もお前と同じさ。」
男が赤子を抱き上げるとまだ付いたままの臍の緒がぶら下がる。
優しく包みこむように男は赤子を抱くと自然と泣き声がやんだ。
「とりあえず、病院だな…」
男は傘を投げ捨て走り出す。
赤子が濡れないようにコートの内側に抱き冷たい雨の中、病院を探した。
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