とおりゃんせ

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それ故にこの信号機には不思議な話がある。 七不思議・・・ではないのだが。 その話というのは・・・。 信号機の壊れたスピーカーから童謡が流れ出したら横断歩道を渡ってはいけない・・・。 渡ってしまえばーーー。 馬鹿馬鹿しい。 菜月の素直な感想。 どうせどこかの馬鹿が作り出した話。 そんな話を作る暇があったらもっと勉強しろよ。 そんな事を考えていたら信号が青になった。 菜月はため息を着いて渡る。 横断歩道を真ん中まで来たところで『曲』が流れ出した。 「えっ・・・」 菜月は立ち止まる。 一瞬自分の携帯かと思ったが違う。 自分の着信音は今流行りのアーティストの歌。 今流れてるのは誰もが一度は聞いたことのある童謡。 てことは・・・。 「嘘・・・スピーカーは壊れてるはずでしょ?」 自然と声が震える。 だって壊れてるはずのスピーカーから童謡が流れてるのだから。 そしてさっきまで馬鹿にしていた話を思い出す。
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