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ゆっくり・・・。
嫌な汗が流れる。
首を横に向けたところで止まる。
大丈夫・・・何も無い。
ただの気のせいだ。
必死に自分に言い聞かせる。
振り向いて何もなくて自分は馬鹿だな~って笑う。
そんなオチに決まってる。
だから、何も怖くない。
何も・・・。
菜月は勢いよく後ろを振り向いた。
「・・・アハハ、ほら。何も無い・・・何びびってんのよ・・・きっとスピーカーを直したのね・・・やっぱりあいつに電話して文句言わなきゃ」
菜月は苦笑して前を向いた。
そして、目が合った。
・・・・・・ ・・・・・
濁った白い目と目が合った。
すぐ目の前に生きているとは思えないくらい白い顔をした少年が立っていた。
恐怖で言葉を失う。
そして少年はニタァと笑った。
「きゃああああああああああああああ!!!」
菜月の喉から凄まじい悲鳴がほとばしる。
そしてーーー。
横断歩道の真ん中には菜月のエナメルバックだけが置いてあった。
かくして、恐怖は幕を開ける。
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