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「遅い。」
下駄箱には百合が少し怒った顔で立っていた。
「ごめんね。シェイクおごるからさ。」
「プラス、桜の好きな人もね。」
「えぇ。」と笑うと、百合が不思議そうに見る。
「何?」
「顔から首の下まで真っ赤なんだけど?」
「嘘?」
カバンから鏡を取り出し見てみると確かに赤い。
「うん。私に欲情しないでね。」
「しないよ。」と百合に返し、外に出る。
校門から出る時に、何気なく今までいた教室を見ると優が窓の戸締まりをしていた。
――わかるかな……。
そう思い、手を振ると目線をこっちにチラッと向けて、また窓に戻した。
そして小さく手を左右に二回振った。
「……あははっ。」
小さく笑い声が溢れた。
幸せも胸に溢れた。
少し前を歩く百合は不思議そうに、「桜。」と呼ぶ。
「今日はシェイクでもポテトでもおごってあげる。」
「嘘、いいの?」
「いいよ。さぁ、行こう。」
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