白い世界

2/6
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
一度くらい、本気の恋をして死にたかったな。 私はまだ10代なのに、病が元で死んでしまった。 こうなることは一月くらい前に分かっていたから、今片想いしている男の子に、手紙を残そうと思ったけれど、結局書かなかった。 だって、もう死んでしまうと分かってしまったら、気持を伝えたって、どうにもならないもの。 それに、付き合ったりデートをしたり、楽しいことなんて、この身体じゃどうせ出来ない。 それならもういいかって、簡単に諦められた自分がいる。 結局私は恋に憧れていただけで、本気でその男の子を好きだったわけじゃなかったんだ。 小さい頃からずっと、心から大好きな人と出会える日を楽しみにしていたのにね。 その人と一緒に歳をとって、幸せなおじいちゃんとおばあちゃんになりたいって、祈っていたのに……。 私はまだ、15歳だった。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!