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どれくらい2人で走り続けたのだろう。
不思議と疲れはしなかったけれど、随分な時間が経った気がする。
青と白だけの世界に、初めてそれ以外のものが視界に入った時、私は思わず繋いでいた少年の手を引っ張り、立ち止まった。
「見て!花が咲いているわ」
その花は一輪だけだったが、可愛らしい形で、キラキラと光る虹色の花びらをしていた。
「ああ、それは『空の花』だよ。君が命を終えてここに来たように、その花も地上で枯れた後、ここで芽を出したんだ」
私は想像したこともなかった。植物も死んだら天国に来るなんて。
「じゃあ、人や植物以外の生き物も、皆ここにいるのね?」
少年はしゃがみこんで「空の花」に優しく触れながら答えてくれた。
「そうだよ。花も、木も、虫も、動物も、命あるものは皆神様の元に帰って来るんだ。もう少し先に行ったら、そんな者達に沢山出会えるよ?」
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