混沌と

15/17
前へ
/52ページ
次へ
「小僧。入隊希望なんだろ? 笠は脱ぐのが礼儀ってもんじゃねぇのか?」 棘はあるものの、 最初だからか、まだ様子見のような口調。 土方は、じわじわと追い詰めて、 この怪しい人物の裏を探ろうとした。 聞き出せるという過信ではない自信が 土方にはある。 今まで何人もそうしてきたのだ。 今回も同じようにすればいい。 赤子の手を捻るように簡単。 そう今の瞬間までは 思っていた。 が、 蓮が次の言葉を放ったとき それは何処かへ飛んでいき、 土方の中でピシリと何かが音をたてた。 蓮にしてみればこうだ。 まず一言目の“小僧”という言葉が気に入らない。 それに、なぜ自分が格下の相手に口出しされなければならないのだ。 元々このような血なまぐさいところに 礼儀なんて言葉ありはしないだろうに。 全く持って理解不能。 だからか何の戸惑いもなく言った。 「嫌です。」 ,
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2169人が本棚に入れています
本棚に追加