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「小僧。入隊希望なんだろ?
笠は脱ぐのが礼儀ってもんじゃねぇのか?」
棘はあるものの、
最初だからか、まだ様子見のような口調。
土方は、じわじわと追い詰めて、
この怪しい人物の裏を探ろうとした。
聞き出せるという過信ではない自信が
土方にはある。
今まで何人もそうしてきたのだ。
今回も同じようにすればいい。
赤子の手を捻るように簡単。
そう今の瞬間までは
思っていた。
が、
蓮が次の言葉を放ったとき
それは何処かへ飛んでいき、
土方の中でピシリと何かが音をたてた。
蓮にしてみればこうだ。
まず一言目の“小僧”という言葉が気に入らない。
それに、なぜ自分が格下の相手に口出しされなければならないのだ。
元々このような血なまぐさいところに
礼儀なんて言葉ありはしないだろうに。
全く持って理解不能。
だからか何の戸惑いもなく言った。
「嫌です。」
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