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部屋全体が
息苦しい空気で押しつぶされそうだった。
深夜のように静まり返っていて、
誰一人ピクリとも動かない。
この空気をつくった蓮本人は
飄々とした態度で居座っている。
ギラリと凍てつくように
鋭くなった土方の目に、
笠の下で緩く弧をえがく蓮の口元がうつった。
それが引きがねだった。
「…おい総司」
地を這うような重い土方の呼びかけに、
蓮が入ってきてから今まで
その体制を崩していない沖田は
「はい?」っといつもの笑みで答える。
隣の藤堂は少しひきつった表情で固まったままだ。
少し間をあけてから
土方は低く淡々とした口調で言う。
「俺の刀とれ」
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