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「ちょ、ちょっと待って下さい!」
沖田が腰をあげたことで
ハッと我にかえった藤堂は
焦ったように土方に詰めよった。
だが、土方が醸し出すピリピリとした雰囲気を感じとると
向きを変えて蓮をみる。
距離からして、土方の殺気に気づいているはずなのに
それでも動こうとしない蓮に
藤堂は自ら笠をとろうと腕を伸ばした。
ぱしっ、シュッ、っと
小さいながら嫌に部屋に響く音が聞こえたのは同時だった。
藤堂はまた唖然と蓮によって叩かれた
手の甲を見つめ、
土方は土方自身の心情をあらわすかのように、
ぎらりと光る刃に嘲笑いをのせる。
刃の先端は白く細い
蓮の喉にあてられていた。
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