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何だか知らんが、去年の夏休みが終わってから樹は変わった。
見た目や性格の問題じゃない。纏うオーラ的なものだ。
前のあいつは、なんだか釈然としない暗いオーラを放っていた。
そして、人との間にベルリンの壁並みに厚い壁を作っていた。
だが、今は前の暗い闇のようなオーラは無くなり、壁もなかなか薄っぺらくなったような気がする。
まあ、無愛想なのは相変わらずらしい。
時々、俺の所に来る女がこいつの無愛想さに泣いていた。
まあ、その涙を拭き取るのが俺の仕事。
言葉巧みに操っては、ちょっとしたデザートを味わっていた。
そう言えば…
佐藤 藍。この学園で圧倒的な支持率を誇る女。
そいつが、樹と付き合ってると俺はよく耳にしていた。
まあ、心当たりがないこともない。
「お前、童貞は卒業できたのかよ?」
すると、樹はブーと音を発て、口の中にある麺を俺の顔に盛大にぶちまけた。
「おまっ!?何してんだ糞野郎!」
「うるせー!変態!クズ!糞!馬鹿野郎!消えてなくなれ!」
そう言って奴は、保健室から出て行った。
一瞬、奴の顔が赤くなっていたが、まさか…?な?
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