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「ミャー!」
「何だよ!?そんなに不味いか?ならお預けだな。」
そう言って、俺は野良猫の前に置いていた、コンビニで買ったアンパンを手に取った。
「ニャ~。」
「無理。贅沢言う奴にやる飯はないんだよ。」
「ニャ!!」
「いって!!お前引っ掻きやがったな!もう、絶交だかんな!」
「ニャ~…」
そう鳴くと、その野良猫は寂しそうにシュンとしてその場から動かなくなった。
この野良猫の名前はクロ。俺がつけた名前。理由は黒いから。
藍と俺が、付き合う前の日に出会った猫だ。
こいつに会った時、俺はなんとなく餌?をやると俺になついた。
なんつうか、クロを見てると昔の俺を思い出す。体は他の野良猫につけられたのか、傷だらけで…
俺以外の人間にも、猫にもなついていない。
俺と藍が付き合ってから、もう二ヶ月が過ぎようとしていた。
季節は秋で、時々物凄く寒い夜もある。
そんな日は、俺が自分の部屋にクロを入れてやったりする。
今日も寒くなりそうだな…
そう思って俺は、まだ佇み続けるクロにアンパンを食わせると、自分の部屋に連れていった。
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