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そんな時だった。
微かにパトカーの音が聞こえた。
屋上から見ると、パトカーのあの恐怖のサイレンはこの学校に向かって来ている。
俺は大和に
「ヤベッ!警察が来る!逃げるぞ!」
と言った。
大和も、瞬時に察し
「多分、叫んでたから、近所の奴に通報されたな!証拠隠滅して行こう!」
と言って、優勝カップにまだ残っていたビールを一気に飲みほした。
俺もそれを真似してビールを飲みほし、ツマミと団子を大和のカバンの中に急いで詰め込んだ。
そして、俺は優勝カップを両手に持ち、大和が先頭を切り、屋上から校内に入る。
その時に、校内の警備システムも作動したが、気にせずに一目散に一階へと降りた。
そして、大和が準備がいいことに、ティッシュで自分の手を覆うと、指紋が窓や鍵につかないように、慎重に、だが素早く、窓を開けた。
大和が窓から出ると、俺も大和に続き、窓を出る。
大和は急いでティッシュで覆った右手で窓を閉めた。
「大和!野球部のグランドの方から出れば、多分安全だ!」
「おう!」
そう言って二人で野球部のグランドを掛けていく。
学校のうちばきを履いていたので、足跡で特定されることもないだろう。
ただ警察は早くも学校の中に乗り込んでいた。
俺たちは暗闇に紛れながら、何とか学校の敷地の中から脱出した。
その後は、二人で目立たないように、俺の家まで移動した。
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