決行×決着×決別

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「なぁスミス。見てくれないかこの宝石。なかなか殊勝な働きをするじゃないか。魅力的で実に非金属鉱物らしい光彩だ。ドグマチック論者はよく宝石を愛用すると聞いていたが、この輝きは思想や論争に関係なく、いかにもインテンシティなポテンシャルを秘めていそうだな。こういう第六感的感覚を何て言うのだろうか?シンクロニシティーか?いや、それではユング博士の概念と異なる。軋轢が生じるな」 もうわけがわからない日本語と横文字は止めて欲しい。何が言いたいんだお前は。 ちなみにこれらもアドリブ中のアドリブで、実際の台詞と照らし合わせると、俺の名前を呼んだところしか合っていない。やる気はあるのかと小一時間問い詰めたい。 「そ、そうだな。俺はとりあえずミズキがこの宝石を着けた姿を見てみたいが」 流石プロフェッショナル俺。一瞬でラブリームードにターンチェンジだぜ。 「そうか?そんなものよりシーラカンスな方が牽かれる」 ダメだこいつ。ロマンの片鱗すら見せねぇ。堅物守護領域だ。 だが今の俺に諦念など微塵もない。むしろ逆境が俺を奮い立たせる。今だ!今こそ勇気を振り絞るんだ。 シャイボーイと銘打たれている俺は最後の策として、ミズキの身体を引き寄せる。
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