入学、そして驚愕

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しどろもどろになっている外国人担任はどう考えても日本人に見えるが、あんだけ四苦八苦してんなら、やっぱりカナディアンなんだろう。 ところが、だ。 「オー、………あーだるっ。やっぱ似非外国人は疲れるわ。もう話ならん。やーめた。やーめた」 あり? 少し砕けすぎな日本語を流暢に話すその姿は、決して来日カナディアンに思えない。親日家でもこんなペラペラじゃないぞ。 いきなりの変貌を遂げた新担任の口調に生徒全員ポカンと口を開けている。 「いやぁ~ごめんな!ちょっと上からそういう指示が出ててな。まぁ堪忍堪忍。てなわけで、私がガルシアでぇーす。よろしくぅ!」 やたらテンションがハイなお方だが、頭の中もハイなのだろうか。 一人が手を挙げる。 「先生って何人なんですかぁ?」 この質問は、先生の人種を聞いているわけで、決して先生の数を聞いているわけではないので、あしからず。 「え?日本人やけど」 俺唖然。一同も唖然。 「ってのはジョークで、日系のカナディアンですわ。いわゆるハーフってやつ」
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