決行×決着×決別

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じめじめとした空気が嫌に身体にまとわりつく。湿気の多いこの地域の性質にうんざりしたくなるほど、今月の天候は俺とウマが合わないようだ。 6月――――。 世間じゃ『ジューンブライド』やらが蔓延っているせいで、この月に行われる結婚式の数は半端ない。人生の伴侶と共に歩むことを誓う幸せな男性は、さぞや浮かれることとなるだろう。新婚初夜なんかスペインのフラメンコかシェイクスピアの劇作ぐらい情熱的なんじゃないか? あー腹立つ。 生まれ持った俺の『幸せ』はバミューダトライアングルの真っ只中を彷徨しているようで、暫く帰ってくる気配も予感もしない。もしかして屍になって戻ってくるんじゃねえか、なんてネガティブイマジネーションが副産物になるぐらいだ。 これ以上、幸せのデフレスパイラルを見逃すすわけにはいかない。今こそ諸悪の根源を絶ち、義を貫く。 「結局、みんな来ちゃったね!」 雨雲が広がり不安定な天気とは真逆の、垢抜けた笑顔の川崎。 例のブライダルジュエリーのショーウインドウ前に女神五名、紳士一名、清少納言一名、という面々はかなり周囲の気を引く。 それぞれタイプの違う可愛さを持った少女達は俺の自慢でもある。
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