決行×決着×決別

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「創価学会の会長より、御釈迦様よりありがたいご説法だ。耳の穴かっぽじって聞きな」 物語はクライマックス。柳瀬の台本に倣い、俺は深く息を吸い込んだ。 「いいか!世の中、お前だけに厳しいわけじゃないんだ。例え過去にどんな不幸があったって、人は皆同じなんだ。自分だけ苦しいんじゃないんだぞ」 何の事を言ってるのか、皆目見当ついただろう。向山は目をカッと見開いていた。 「話は大体聞いた。こいつから」 そこで言葉を切り、ミズキの方を一瞥する。既に彼女の顔に恐怖はなく、何かを決意したような感じがした。 「……覚えているか?私だ。君のいとこの、観月真美だ」 それを聞いた瞬間の向山の顔と言ったら、モアイ像が雷に打たれて崩壊したような例えしか浮かんでこないほどだった。 「ずっと黙っていてすまない。中学のときは……その………災難だったな。いや、決して簡単な言葉で慰めに来たわけじゃない。私なりに、考えたんだ。君の行動が正しいのか、君の思考が正しいのかを」 「否定するのかよ?君は…俺の愛を」 なんだか昼ドラ感溢れる台詞だな。 「その通りだ向山良太。君のやっていることは『愛』に基づいていない」
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