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なんだか哲学的な理論だ。それでも俺は、次第に強くなる雨を気にせずミズキの次の言葉を待つ。
「相手を想う故、その気持ちはわかる。だけどな、それは君の自己満足だ。マスターベーションと変わらない。そこにあるものを無視し、自分だけが気持ち良くなろうとしている。そんな快楽に溺れて、何が残る?」
不思議な気分だ。まるでミズキが俺の気持ちを代弁しているようで、何とも清々しい。あっという間にシンクロ率が400%を超えました。
「考えなおせ向山。まだ間に合う」
立て籠った犯人を諭すような気分で言う。
「……俺は……俺は……」
よし、向山の意思が揺らぎ始めている。
「俺は……俺は………………ウァ、ウワァアァアァァァァ!!」
覚醒。
なんだこの戦闘力は?スカウターが壊れるぜ……。
とまぁ、余裕こいてる場合じゃない。
ジレンマに悩まされ、とうとう自我が崩壊した向山が突進してくる。
―――このタイミングだ。
当然この事態も想定内であり、ファイナルウェポンの発動条件が揃った。
鉛色の空に向かい、俺は静かに右手を挙げる。
「来たれ!オーディーンっっ!!!」
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