決行×決着×決別

13/16
前へ
/280ページ
次へ
なんだか哲学的な理論だ。それでも俺は、次第に強くなる雨を気にせずミズキの次の言葉を待つ。 「相手を想う故、その気持ちはわかる。だけどな、それは君の自己満足だ。マスターベーションと変わらない。そこにあるものを無視し、自分だけが気持ち良くなろうとしている。そんな快楽に溺れて、何が残る?」 不思議な気分だ。まるでミズキが俺の気持ちを代弁しているようで、何とも清々しい。あっという間にシンクロ率が400%を超えました。 「考えなおせ向山。まだ間に合う」 立て籠った犯人を諭すような気分で言う。 「……俺は……俺は……」 よし、向山の意思が揺らぎ始めている。 「俺は……俺は………………ウァ、ウワァアァアァァァァ!!」 覚醒。 なんだこの戦闘力は?スカウターが壊れるぜ……。 とまぁ、余裕こいてる場合じゃない。 ジレンマに悩まされ、とうとう自我が崩壊した向山が突進してくる。 ―――このタイミングだ。 当然この事態も想定内であり、ファイナルウェポンの発動条件が揃った。 鉛色の空に向かい、俺は静かに右手を挙げる。 「来たれ!オーディーンっっ!!!」
/280ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1519人が本棚に入れています
本棚に追加