エピローグ

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ちょっと変わったことといえば………あぁ、向山が隠れて職員室に設置された掃除機で股間をずっと吸っていたという事実を目の当たりにしたことと、12段しかないはずの北棟の階段が数えたら36段だったことと、青木が買った購買のパンにゴキブリが入っていたことしかないぞ?そんなの聞いたって仕方ないだろ。 まぁ需要があっても、天国に近いジジババぐらいじゃない?って失礼なことを空見上げながら思ったりして。 だが向山の性癖より、通常比の三倍の段数の階段より、食品安全問題なんかよりも、気にかける事件がある。 そいつは、今俺の眼前で発生していた。 明日は終業式。 明後日からは恋焦がれた夏休みが待っているというのに。 「何だ?異論は無かったのじゃないのか?」 独特の口調。幾分かバカにした感じがする。 「ちょっとね……気が変わったの」 対して向こうは凛とした態度で告げた。 んで両者の中央という何とも無難なポジションに立った俺は、モヤモヤハートが破滅していく様を黙って看取っていた。 時は放課後。場所は放課後。 上を見上げれば遥かなる大空。 下を見下せばタイル張りの地面。
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