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「で、どうするんだ君は?こんなにラブアタックを受けといて、まさか素知らぬフリをするつもりか?」
騒がしい三人を横目に見ていた俺の耳に、ミズキはそっと囁いてきた。
「大丈夫。答えなら、ある」
「そうか………。あっ、言い忘れたが、私も君の事が本気で好きだぞ?」
「いっ…!」
「そんなに刮目することか?まぁいい。ただ、私もリストに入れて熟考してくれ」
サラッと愛の告白を告げたミズキは、片手をブラブラと振ってその場を後にした。
いまだ止まない喧騒を見詰め、俺は考える。
ミズキに、嘘をついた。
答えなんかまだ出ていない。
誰かを選べば誰かが傷つく。それは恋愛の関係上避けては通れない犠牲なのかもしれない。
だけど、そうかもしれないけど、
俺の事を一生懸命想ってくれる人の気持ちを、例えどんな形であっても踏み潰したくない。
ずるずる中途半端な関係を引き摺る方がよっぽどタチ悪いかもしれない。けど、誰がどう批判しようと、これが今俺にできる最善の道だと信じている。
優柔不断で最低だな、俺って。
なぁ、向山。
心の中でそうブサメンゲイに語りかけ、大きく息を吐き空を見上げた。
願わくは、今日も、明日も、ずっと変わらずに―――……。
FIN.
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