1519人が本棚に入れています
本棚に追加
「今日もカッコいいなぁー!大樹は。その爽やかフェイスはまさに天然記念物だよ」
「はは…ありがと……」
自分の顔が多少ひきつるのを感じた。
「あぁ…カッコいい!!」
まるで芸術品でも鑑賞しているようなうっとりとした顔で、“やつ”は俺の頭を撫でた。背筋に寒気が走る。
チャイムが鳴り、満足したのか“やつ”は自分の席に戻っていった。
そもそも何故俺に接近してきたのか、動機が知りたい。
「それはね、彼は君のことが好きだからさ」
「うわっ!」
俺の心の声に律儀に答えてくれたのは、クラスの秀才、柳瀬俊也君だ。
柳瀬は黒縁の眼鏡をクイッと上げ、いかにも勉強できますよ的なオーラを出している。
「いきなり失礼。だが彼は明らかに君の事を好いている。誰が見ても一目瞭然だ。なんなら街角のOL100人にアンケートしようか?」
「そこまでやんなくていーよ」
すました顔で言う柳瀬だが、実際こいつはそんな事をしそうなやつだ。常にデータを参考にする、古典的眼鏡博士なんです。
最初のコメントを投稿しよう!