プロローグ

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何もそんなに統計学ありきの数字に頼らなくても、“やつ”が俺に好意を持っていることぐらい、1に1を足した結果並に言わずもがなである。 まぁあくまでそれはこのクラスに巣食う噂好きな奴らのセンセーショナルによる査定である。んなもん認めたくねぇ。俺は声を大にして否定するね。 その為にも、俺は女子となるたけ交友関係を広げ、ゲイではないと証明するべきである。 てなわけで、 「やぁ麗しのクールビューティー。今日も凛々しいな」 「うるさい」 理恵に声をかけると即返事がきた。 「はぁ……」 とわざとらしく溜め息を漏らすが、理恵は既に友達の輪の中に入り談笑。 …このままゲイキャラの人生なのか……。 諦念にも似た何かが心を渦巻き、そういや何でこんなことになっただろうかと記憶を巡った。 パサパサ、と新緑芽吹く葉が揺れるのを目で追い、同時に我が追憶も終点を迎えた。 そう、思えば“やつ”、――――総ての事の発端である、向山良太が来てからである。 1年ばかし話が遡り、4月――。
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