入学、そして驚愕

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どうやら校長の話は古今東西長ったらしいのが相場らしく、全校生徒もとい、遅れてきた俺でも疲労困憊の体は隠せなかった。 「――で、あるからにして……我々の………は…アナコンダ………あの孔明でさえ……………」 ボーっとしていたので演説は途切れ途切れに聞こえてくる。 アナコンダやら孔明やら。 どんなパイプがあればこの単語を連想できるのか是非知りたいとこだ。 そして校長は言葉を切り、薄くなった頭皮をこちらに向けた。 どうやら話がピリオドを迎えたみたいだ。 新担任の指示で各々散らばるように体育館を後にする。俺は同じ中学であるヤツと教室へと足を運ぶ。 「じゃーな。上手くクラスに馴染めよ」 お節介な一言を残しそいつは隣の教室に消えた。 中学の時は仲はあまり良くない方だったが、見慣れない顔が多い以上、少しでも自分を知っているやつにすがりたくなるのは性だと思う。 例えるなら、いつもは目もくれない清涼飲料水を、何も飲み物がなく喉が渇いていると、仕方なくそれに手を伸ばす―――みたいな? どうやら俺は例え話が下手くそなようだ。
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