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おそる、おそるあたりを見回してみた。
もしかして、少し時間がたてば元通りになるかな、って単純に考えてもみたんだ。
でも、そんな簡単に解決できる事ではなさそうだ。
「変わらないね。」
ミチトも同じ事を考えていたんだ。
「うん。」
「なんだい、めずらしい生き物がやってきたね。」
洞穴の奥から声がする。
僕達はびっくりして、そしておそるおそる声のする方を見た。
「うわ~!!!」
これは僕の声。だって、茶色の大きな逆三角形の顔がこっちを向いてる。
「うわ!カマドウマだ!!かっこいいな~。」
尊敬するような感動するような声を出すミチト。
「な、何言ってんだよ。」
「ヨリト、よく見てみなよ。家の周りにもいるじゃん。カマドウマだよ。別名便所こおろぎ…あ、ごめんなさい。」
さすがに、別名はまずいと思ったか、ミチトはすぐに謝った。
「ほう、良く知ってるね。」
カマドウマさんは嬉しそうだ。
「はい。家のカマドの近くに住んでいて、ウマのように茶色ではねたりするところからこんな名前がついたんですよね。」
さっきの泣き顔はなくなってミチトは生き生きしている。
小さい時から虫が好きで幼稚園の頃は虫博士と呼ばれていたくらいだ。
僕は…というと虫が大の苦手だ。今は僕が泣きたい気分だ。
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