はじまりのとき

11/12
前へ
/25ページ
次へ
長い触角を揺らしながらカマドウマさんは近づいてきた。 「詳しいね。アタシたちの事そんなに良く知ってる人間がいたとはね。」 「え?人間?こんなに小さくても人間って認めてもらえるんですか?」 僕はびっくりした。だって変な生き物くらいにしか見てもらえないと思ったから。 「たま~にあんた達みたいに小さくなった人間が迷い込んでくるんだよ。前に会ったのはチューリップの花の中でないていた女の子だったかな。 お椀の船に乗ってた男の子だったかな。」 ??? 僕とミチトはお互いに顔を見合わせた。あれはホントのお話だったのか。 「…で、どうやったら元にもどれるんですか?」 「さあね。アタシはわからんね。」 なんだかどうでもいいって感じ。 「あの…誰に聞いたら分かりますか?」 僕は必死になって聞いた。たぶん僕のあまりの必死さにちょっとびっくりしたんだろう。カマドウマさんは少し真剣な顔をして、考えてくれた。 「う~ん。そうだねぇ…。よく分からないけど、難しいことは虫の女王に聞くといいよ。」 「虫の女王?」 「…これ以上はダメだ。アタシは難しい事は考えられないんだよ。頭が痛くなってきたよ。」 そう言うと、外へぴょんぴょん跳ねながら出て行った。 。image=207274136.jpg
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加