はじまりのとき

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夏休みも終わってなんとなくだらだらしてた毎日もいつもの規則正しい生活に戻って、月曜日から金曜日まできちんと学校へ行くのがようやく慣れてきたころ、ミチトが言った。 「ヨリト、今日部活ない日だから一緒に帰ろう。」 「うん。いいよ。」 これだけの会話だけどこれは帰りに寄り道しよう、って合図なんだ。 僕たちは寄り道するのが大好き。 やっぱり名前がヨリトとミチトで「ヨリミチ」だからかな、って2人で言ってるんだ。 父さんと母さんは名前つけるの失敗した、っていうくらい低学年の時は毎日寄り道していた。 春、つつじが咲き始めると僕たちはそわそわする。 花の蜜を吸うためだ。まるで砂糖水みたいに甘くて、でもときどきハズレがあったりして、それがまた楽しい。 つつじの花の蜜吸いが始まると次々に色々な木の実が成り始める。 グミの実や桑の実達だ。 グミは赤くてきらきらしているさくらんぼみたいな実だ。 時々渋いやつにあたることもあるけど甘くて酸っぱくて美味しいんだ。 桑の実も最初は赤くなるけどこのときはまだ食べちゃいけないんだ。すごく酸っぱくて食べられない。もう少し我慢すると赤紫よりももっと黒っぽい実になる。ちいさな実がたくさんくっついてなっている。このときに食べるとすごく甘くなっている。 ホントはちゃんと洗って食べないと、いけないんだ。中に虫が入ってたり毛虫の毛がついていたりするからね。 でも僕たちは洋服で優しくそっと拭いて食べる。 だから、時々お腹が痛くなったりもするんだ。 その時はもう食べません、って思うんだけど、またあの宝石みたいな実がなっているのを見ると、ついつい食べてしまうんだ。 .image=207270702.jpg
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