はじまりのとき

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夏休みはお互いに部活があったりして行けなかったから久しぶりでなんだかワクワクする。 今日は水筒のお茶を少し残して行こう、そんな事まで考えた。 放課後、僕はいつもの待ち合わせ場所の朝礼台の前にいた。 結局、暑くてお茶を飲み干してしまったので、代わりに冷水器から冷たい水を汲んできた。 「ヨリト、ごめん。お茶がなくなったから、冷水器で入れてきて遅くなっちゃった。」 ミチトが走ってやってきた。 「僕も同じだよ。」 こういう時、兄弟って不思議なんだよ。同じ事を思いつくから。まして、僕達は双子だからもっとすごいかもしれない。 だって、遠くにいてもミチトがピンチの時、泣きそうな時、なんとなくわかるんだ。なんだか僕の胸の奥が何かにギュッとつかまれたみたいな、気持ちになるんだ。 そんな時後でミチトに聞くと必ず当たっているんだ。 ミチトも僕が困っている時はすぐに分かるって言ってくれた。 母さんのお腹のなかでずっといっしょだったからかな、もともと僕達は2人で1人だったからかな。 。
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