虹に向かって

はじまりのとき

「基地、どうなってるかな？」

ミチトが言った。

「僕も今そう思ってたよ。夏休み、あまり見に行かなかったからね。」

「うん。ヨリトも部活忙しかったよね。」

そうなんだ。僕もミチトも6年生、小学校最後という事で練習試合や試合がたくさんあった。

僕はバレー部、ミチトはサッカー部に入っている。

「中学に入ったらこんな事できなくなるのかな。」

僕が言うと、ミチトは少し寂しそうな顔をして何も言わずただ笑った。

このごろよくいろんな事を考えるんだ。
中学に行ったらどうなるんだろう、って。毎日楽しく暮らせないのかな。
母さんがよく言うんだ。中学に行ったらこんな事してられないんだから、って。
きっと、ミチトも不安だよね。あまりに不安が大きいとなかなか口には出せないものだね。答えを聞くのが恐いからかもしれないね。

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