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進んでいくにつれて、子供の鳴き声が大きくなる。
フェイトは走る足を早め、一刻も早くそこに向かおうとした。
そして声がすぐそばまで聞こえてきた。
フェイトにアイリ、共にゼロ・レイズを構え、いつでも戦闘を行えるようにする。
ゆっくりと覗き込む。
「あぅ…いい加減泣き止んでくれないかなぁ…。子供を慰めるの苦手なんですよねぇ…」
「…は?」
唖然となって、口があんぐりと開いた。
フェイトは間の抜けた声を発し立ち尽くしてしまった。
そこにいたのは、まだ小さな子供と淡いピンク色の髪が綺麗な、おそらくフェイトと同年代であろう外見をしている少女だった。
「アンタ…こんなところで何してるんだ?」
「あ、丁度よかったです! 実はこの子がどうしても私に着いてきたいって言うんで来させたんですけど、恐いからって泣き出しちゃったんですよ。けど、私は子供の扱い苦手ですし、どうしようもなかったんですよ~」
と、少女は困ったような表情をした。
つまり、子供はさらわれたのでも何でもなく、ただ単に少女についていっただけなのだ。
「な…なんなんだよ…」
「兄さん、みて!」
アイリが唐突に言い出した。
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