アルテミナ

8/13
前へ
/17ページ
次へ
「じゃあ、行ってきますね」 「いってらっしゃ~い」 ぶんぶんと手を振りながらユーコはフェイトを送り出す。 そんな姿を目にしながらフェイトは軽く会釈をして、地図に描かれている目的地に向かった。 「それにしても…」 風を切る音が、やけに大きく聞こえる。 先は見えず、その中は暗闇で埋め尽くされているかのようだった。 涼しげな風が頬をくすぶる。 「洞窟はないだろ!」 フェイトが素直に地図に従って辿り着いた先が、町外れにあるこの洞窟だった。 「カルナ洞窟。比較的魔物は弱いほうだから気を抜かなければ余裕でしょ」 「なんでアイリがここにいる」 視線を180°変えると、そこには戦闘体制万全のアイリがいた。 すでに短剣型のゼロ・レイズである「リウレイヴ」をぶんぶん振り回している。 「だって暇だったんだからしょうがないでしょ」 「あのなぁ…」 ため息をつき、ガクッと肩を落とす。 もはや突っ込むことすら面倒になっていた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加