9人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ、行ってきますね」
「いってらっしゃ~い」
ぶんぶんと手を振りながらユーコはフェイトを送り出す。
そんな姿を目にしながらフェイトは軽く会釈をして、地図に描かれている目的地に向かった。
「それにしても…」
風を切る音が、やけに大きく聞こえる。
先は見えず、その中は暗闇で埋め尽くされているかのようだった。
涼しげな風が頬をくすぶる。
「洞窟はないだろ!」
フェイトが素直に地図に従って辿り着いた先が、町外れにあるこの洞窟だった。
「カルナ洞窟。比較的魔物は弱いほうだから気を抜かなければ余裕でしょ」
「なんでアイリがここにいる」
視線を180°変えると、そこには戦闘体制万全のアイリがいた。
すでに短剣型のゼロ・レイズである「リウレイヴ」をぶんぶん振り回している。
「だって暇だったんだからしょうがないでしょ」
「あのなぁ…」
ため息をつき、ガクッと肩を落とす。
もはや突っ込むことすら面倒になっていた。
最初のコメントを投稿しよう!