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結局、アイリを連れて洞窟に向かうこととなった。
フェイトはああは言うものの、実際アイリにも充分な戦闘力は兼ね備えているし、フェイト自身もアイリには重々の信頼を抱いている。
短剣型のゼロ・レイズ「リウレイヴ」による素早い攻撃に加え、攻撃、回復魔法も使いこなす。
連れていくに不足はなかった。
少々兄に対しての口の悪さとかは目立ってはいるが、そこは多目に見ている。
洞窟内では、大した怪我もなく、二人は奥に進んでいった。
「兄さん」
「…どうした?」
ここまで会話をしていたアイリの声色が若干変わる。
フェイトは不審に感じ足を止めアイリを見る。
アイリは目を瞑り、周囲の微かな音にも反応できるようにした。
「子供の鳴き声が聞こえる」
「何?」
目を開きながらアイリは言う。
その瞬間、フェイトの脳裏には最悪の事態が予測された。
もし子供の身に何かあったら、その人に合わせる顔がない。
フェイトはアイリの指差した方向に向かって走り出した。
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