アルテミナ

9/13
前へ
/17ページ
次へ
結局、アイリを連れて洞窟に向かうこととなった。 フェイトはああは言うものの、実際アイリにも充分な戦闘力は兼ね備えているし、フェイト自身もアイリには重々の信頼を抱いている。 短剣型のゼロ・レイズ「リウレイヴ」による素早い攻撃に加え、攻撃、回復魔法も使いこなす。 連れていくに不足はなかった。 少々兄に対しての口の悪さとかは目立ってはいるが、そこは多目に見ている。 洞窟内では、大した怪我もなく、二人は奥に進んでいった。 「兄さん」 「…どうした?」 ここまで会話をしていたアイリの声色が若干変わる。 フェイトは不審に感じ足を止めアイリを見る。 アイリは目を瞑り、周囲の微かな音にも反応できるようにした。 「子供の鳴き声が聞こえる」 「何?」 目を開きながらアイリは言う。 その瞬間、フェイトの脳裏には最悪の事態が予測された。 もし子供の身に何かあったら、その人に合わせる顔がない。 フェイトはアイリの指差した方向に向かって走り出した。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加