6466人が本棚に入れています
本棚に追加
結局、恋を知らないまま恵は高校生になる。
家から電車で三駅先の、地元の中学では真ん中の成績の子達が行く学校に入学した。
制服がセーラー服で、中学のブレザーとは違い、嬉しくて制服が家に届くと早速着て鏡の前に立つ。
入学式、恵は一人で学校に向った。
校門の近くまで来ると恵は思わず立ち止まる。
満開の桜の並木道が門の先にあり、息を飲むほどの美しさだった。
アーチのように枝が左右から生え、小さな隙間からはちらちらと眩しい青空が見えた。
30メートル程の並木を通り過ぎる間に上級生達が部活勧誘のチラシを配ってくるが、恵は桜と、風にちらちらと舞うその花びらに夢見心地で歩き、道の真ん中でもう一度立ち止まって眺めた。
最初のコメントを投稿しよう!