陸と海

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ドア付近でぶつかるなんて、それこそ少女マンガや恋愛ドラマのような突然で運命的な出来事だったが、実際に起きると想像していた気持ちとは違った。 ドキドキは訪れず、それよりも何だかいまだに信じられず、理解しきれてないような、頭の中がまだふわふわとしたような不思議な感覚だった。 恵は一人席で心の中で落ち着きなく座っていた。 陸は真ん中よりやや外窓側だった。 恵は陸の列より一つ廊下側の、一番後ろ。恵は陸の後ろ姿を見つめる。 髪や背筋だけでなく、肩から腕の形が美しい。 顔が見えないのに後ろ姿さえ格好よく見えるのはなんでたろうと恵は不思議に思う。 陸の視線がこないのでじっくり眺めることができた。
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