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家族と過ごす暖かな時間も、恵をずいぶん助けてくれた。
居間のソファにあった双子の定位置も、一美が模様替えした事により少し忘れれた。
恵が三年生のゴールデンウィークに三人で箱根に行く。
それまで全く双子の話をしなかったが、泊まった旅館が二人からのプレゼントでもあったからかこの時になって雄三が話す。
「あのな、恵」
雄三が声を掛ける。
「何?」
三人は宿の近くの神社の境内を歩いていた。
「父さんの会社は大丈夫だ」
「…」
「きっと彼らのお陰なんだろうな」
「恵…」
一美が心配そうに言う。
「ごめんね、でも平気だよ」
恵は笑う。
「きっと元気にしてるよね。だってずっと大変だったのに、いつも元気だったもん」
両親に心配されたくなくて、わざと明るく振る舞おうとするが空回りの空気が漂う。
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