桜の木

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「よし、皆で二人の健康を祈ろうっ」 雄三が空気を変えようとしてか、砂利を踏みしめ拝殿に向かう。 三人で並び祈る。 二人の無事を祈ると心が少し安らいだ。 拝殿を離れた後まさかこんな事になるとは思わず恵は自然と笑う。 「なんだ」 二人が恵を見る。 「だって…」 そんな恵を見て一美も笑う。 「じゃあ母さんは縁結びの御守りでも買おうかな」 「ええっ?!」 「新しい彼氏欲しいもんっ」 「それは私のセリフでしょっ」 「あははっ」 三人で笑い合う。 陸と海が中心で全てだった恵の世界が、色んな人達と過ごすうちに少しずつずれて変わっていった。
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