桜の木

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それでも到底二人を忘れるなんて、できなかったけれど… 今でも道を歩いていると人影が陸や海に見える事がしばしばあり、立ち尽くした。 そんな訳ないのにどこがで待っている自分がいる。 大会の会場に陸が紛れていないかとか、大通りを歩いている時に似たバイク音がすると海ではないかと振り返り探したりした。 何度も連絡を取りたくなり、携帯を握り締めた。 無理してないかな、マンションの鍵を返してないけど連絡しなくていいのかな、とか意味のない口実を思い浮かべたりした。 しかし電話してもどうする事もできないと諦めて、結局携帯番号とメールアドレスを変えて二人の番号とアドレスを消した。
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