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――次に気付いたのは、見知らぬベッドの上だった。
狭い部屋の窓の外には、星が輝いている……。
あの女にやられてから、記憶が無い……。
マジで、何が起こってんだよ……クソッ!
俺はベッドのすぐ隣にあった机に拳を叩きつけ、その衝撃で腕を襲った痛みと格闘する。
……こんな机一つ、壊せないのかよ、チクショー。
机を叩いた時、その上に置いてあった服が崩れて床に落ちた。
それを見た時、ふと自分が下着以外何も身にまとっていないことに気付く。
俺の、イレイサーシックスの黒ローブはどこにいったんだ……?
無惨に形崩れ、その場に落ちている服と瞳があった時、すべての点と点が静かに線で結ばれた……。
俺はそれを拾って、中途半端に開いているドアを蹴破り、優雅に紅茶飲んでる女に突き付ける。
「あらあら……どうしたの、ボウヤ?」
「……てめぇ、俺の服どうしたァァァァ!!」
俺が腹の底から声を出して抗議しているにも関わらず、女は紅茶の入ったカップをゆっくりと机に置いて、俺を見据える。
「ああ、あれならボロボロだし、汚かったから……捨てちゃった♪」
「……ふざけんなァァァァ!! 殺すぞクソがァァァァ!!」
「あらあら。そんなに怒らなくても……代わりの服、買ってあげたんだから、感謝してよ」
うるせぇ!!
だいたい代わりの服、何でサイズ分かってんだよ!!
そこが気持ち悪ぃんだよ!!
「てめえの目的は何だ? ……答えねぇと、マジで殺すぞ……?」
俺が強く睨むと、彼女はすかした笑顔のまま微笑し、俺の鼻の頭に人差し指を当て、軽く突き飛ばす。
「目的も何も……迷子を拾って保護したつもりなんだけどな」
「俺はガキじゃねぇ!! てめえ殺すぞ!!」
「……あらあら、二言目には〈殺す〉……。君、本当に口が悪いんだね」
常時笑ってやがる女の胸ぐらを掴み、顔を引き寄せて瞳を覗く。
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