お嬢様の憂鬱

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お嬢様は、車内で酷く苦しまれていました。そして、私はお嬢様の体…鎖骨に緋色の月の痣が浮かび上がってくるのを見ました。 「血が欲しい…零央、私は人じゃない。吸血鬼…でしょ?」 苦しそうに息を吐かれるお嬢様の前で全てを話しました。 お嬢様が自分の事を知る時が来たと確信したからです。 「お嬢様は、緋色の月の夜に生まれた呪われし子供です。更に吸血鬼伯爵ブァレル様と高貴な人間の女性との間に生まれました。」 「吸血鬼伯爵と人間の女性の間に生まれた呪われし子供…血を欲しがるのはそのせい?」 自分の出生を知られたお嬢様は、私の話を冷静に受け止め理解されました。 「おそらく先程獣の血清を体内に吸収し一時期は薬となっていたのですが、今日の月がお嬢様の眠りを覚ませたようですね。」 「…零央の血を頂いても問題は無いの?」 「はい。私は、お嬢様に仕える悪魔公爵バルキュリスですから。それに、貴女のお父様から契約をするようにと命を受けました。」 「そう…どうりで礼儀正しくて私の命に忠実なのね?よく分かったわ。クッ…零央…もう待てないわ。」 か細い声で、血を求めるお嬢様…私は、お嬢様に血を吸ってもらうために体をあずけました。 ブシャッ! 「…お嬢様、お味は如何ですか?」 「ケホケホ…この味に慣れる迄苦痛だわ。口の中鉄分でいっぱい。零央、貴方は吸血鬼にならないのね?」 「私は悪魔ですよ?それに、貴女と契約させられた時から免疫をつけられ吸血鬼になる事等ありえませんでした。それに、貴女は人間の血が混じっていますからね。」 「…そうらしいわね。私は、両親の記憶も無いのにあの豪邸でただ夜の仕事をしているだけ。」 お嬢様は、両親との事の記憶を失われていました。都合よく誰かに消されたのだと思います。 「お嬢様、食事も終えられた事ですしそろそろ帰らないとあの二人に心配されますよ?」 「そうだったわね。珠樹は、特に私と組めなかった事で今頃ウロウロしてるわよ(笑)」 「私の腕ではお嬢様の仕事の役に立たないからでしょうね?」 「珠樹は、貴方の事知らないからでしょ?知ったら驚いて平伏すわよ。見物だわ(笑)」 「お嬢様…血色も良くなってきたようですね。今日の緋色の月でお嬢様が血を求める洗礼の儀式は終わりました。」 「初めての吸血の儀式だったわ。美味しくないけど体は正直なのよ。緋色の月の夜は血を欲しがるなんてうんざりよ。」
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