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一階の客間に下りて行くとそこには、難しそうな顔をされている牧師様の姿がありました。
「お待たせしました、フリド牧師。ご用件をお伺いしましょうか?」
「実は、美夜お嬢様に渡した銀弾の事でこちらに夜分遅く訪れたのですが…」
「お嬢様は、使用されていましたが効果は一瞬で役には立っていなかったようです。」
「やはりそうでしたか。桂木博士から獣のデーターの事を聞いて銃を渡した後で気付きました。美夜さんの安否が心配でしたから。」
「…敵は、以前受けた事を学習し次には応用し効かなくなっているようですね。」
「はい。所で、今日は緋色の月夜です。お嬢様は、目覚められましたか?」
「ご存知のようですね?フリド牧師、貴方も人ではない…と言うことですか?」
「美夜さんには、人以外の者を寄せ付ける力がありますからね。」
フリド牧師は、はぐらかされましたが私は気付いていました。
フリド牧師は、お嬢様の事をよくしっていらっしゃいましたから。
コンコン
「飲み物をお持ちしました。」
「どうぞ。」
「零央さん、私は失礼しますよ。美夜さんに何も無くて良かったです。では、おやすみなさい。」
「…今度此処へ来られる時は、ラウル牧師様も一緒に連れて来てください。陸十さんが彼にお菓子を習いたいと言ってましたから。」
「そうですか。分かりました。彼にそう言っておきますよ。美夜さんの相手には彼の側にいるシスターと子供達にも一緒に来てもらいましょうかね?」
「はい。お嬢様も喜ばれますよ。」
ラウル牧師は、フリド牧師のお友達で彼はとても美味しいお菓子や料理を作られています。
最近、彼の教会にシスターとして派遣された彼女はお嬢様と気が合いそうなタイプの女性だとお聞きしていました。ラウル牧師は、お嬢様の父親方の親戚になりますから来ないとは言わないと思いますよ(笑)
カチャリ
「零央、お嬢様にもしもの事があったら…」
「珠樹さん、落ち着いて下さい。お嬢様は、今日緋色の月夜に血の儀式を受けられ覚醒されました。ただ、まだ過去の記憶による混乱はありますがね。」
「覚醒って…血を飲ませたのは誰なんだよ?」
「私ですよ。この家には人間はいません。だから、今日は珠樹さんではなく私で良かったのです。」
「悪かったな。俺は獣だからお嬢様には毒なんだよ。?」
「珠樹さんは、熊ですからね。陸十さんは、蛇…二人共毒性が強い体質です。」
「役立たずかよ!」
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