お嬢様の憂鬱

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珠樹さんと私の話は夜遅くまで続きました。陸十さんは、コーヒーを用意してくれて熱くなった珠樹さんもようやくおとなしくなってくれました。 「お嬢様を頼む…本当は、俺がお嬢様を守るんだが怪我を負わせたのは俺だからな。」 「珠樹さん…お嬢様は、貴方の事を責めてはいません。次回からは、貴方にお任せしますよ?」 「…いいのか?」 「はい。私は、今回だけ手助けをしただけですよ。珠樹さん、お嬢様をお願いしますね?」 「ああ。次は失敗しないようにする。」 珠樹さんは、お嬢様に戦いで負けて契約してから彼女を守る事だけに専念してきましたが、今回の事で自分の未熟さに彼なりに反省しているようです。 「人も獣も負けたり失敗をして成長するものです。次は、大丈夫ですよ?頑張って下さい。」 「零央、お前本当優しいな。次は、やれるさ!期待しててくれ。」 「はい。」 珠樹さんは、いい顔をして部屋から出ていかれました。彼なりにスッキリしたようですね? 「珠樹、大丈夫でしょうか?」 「心配いりませんよ。珠樹さんは、次の仕事でやってくれそうですからね?私には分かります。」 「貴方がそう言うなら信じますよ。」 ソファーに座り優雅にコーヒーを飲みながら言う私の隣で陸十さんは笑顔で言われてコーヒー飲み終えたカップを下げられました。 「今日は、緋色の月…お嬢様だけではなくあの方も苦しんでいるでしょうね?」 「あの方とはどなたですか?」 「早水先生の事ですよ。彼は、狼ですからね?人を襲ってないといいのですが…」 「お嬢様は、お休みになられていますから仕事は出来ませんね。」 「何も無い事を願っていますよ。」 窓際に立ち赤い月を見上げながら早水先生の事をただ祈るしかありませんでした。 ~美夜の部屋~ ガタッ 「ん…妙な胸騒ぎを感じるわ。」 prrr… pi! 『美夜さん、寝てる所を起こしてしまい申し訳ありません。ですが一刻を争うので用件を言います。』 「その用件は、仕事の事ね?」 『はい…美夜さんの体調次第ですが、早水先生が狼になり人を襲っています。』 「…胸騒ぎの原因は、彼だったのね?まして、今日は緋色の月…仕方ないわ。私の体調はいいから問題ないわね。直ぐに行くわ。」 『助かります。教会でお待ちしていますよ。』 お嬢様は、仕事を受けられました。早水先生は、私達の祈りも虚しく狼になり人を襲われているそうです。
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