12人が本棚に入れています
本棚に追加
お嬢様は、仕事用の服に着替えられ銃を携帯し部屋から出ていかれました。
「嫌な事は続くみたいね?」
「お嬢様!」
「珠樹、起きてたの?」
「はい。今度は、俺を連れて行って下さい!」
「…一人で行かせて。相手が普通の獣なら珠樹と一緒に行ってるわ。でも、受けた仕事の獣は狼なの。」
「早水先生!?」
「珠樹、私に怪我をさせた事を悔やんでの事なら次の仕事からでいいわね?」
「…分かりました。お嬢様、早水先生を止めてください。」
「ええ、そのつもりよ。」
珠樹さんは、お嬢様の気持ちを理解し静観する事にしたようです。お嬢様は、早水先生の事を別れても愛していらっしゃいます。
「仕事の依頼に行かれるのですね?」
「零央!送りだしてくれるの?」
「はい。お嬢様お気をつけて下さい。早いお帰りをお待ちしていますよ。」
「何も聞かない所が零央らしいわね?行ってきます。」
お嬢様は、後ろ姿で見送る私に手を降り家を出て教会へ向かわれました。
「ねぇ、今日の月変じゃない?」
「ああ、何か赤いな。月ってあんな色してたか?」
「普通は、黄色よ。赤い月って怖い。」
「化物が出るかもな?」
「やめてよ!縁起でもない。…嘘?後ろに化物が…きゃあ~っ!」
ザシュッ
「うわあ~っ!」
「ハァハァ…お前の肉を喰わせてくれないか?」
「やめろ…それ以上近づくなよ。」
男性の腕を化物が爪で引っ掻き彼の腕からは血が滴り落ちていました。獣は、血の匂いを嗅ぐと興奮し人間を襲い血肉を貪り喰うのです。
「誰か、助けて~!」
バンッ!キュインッ!
「その獣は私が倒すから、早く逃げて。」
怪我をした彼を彼女が支え逃げて行かれました。しかし、獣の前に現れた女性は、お嬢様ではありませんでした。
「教会からの要請で獣を退治する様に言われたの。でも、ただの獣とは違うようね。」
ザッ
「キュリア、止めて!その獣は、早水先生なの。」
「美夜、早水先生が何故人間を襲ってるの?」
「緋色の月を見てしまったからよ。彼は私が何とかするわ。」
「甘いわね。美夜は、早水先生が獣になって人を襲っても仲間に許しを得るんでしょうからね?」
キュリアさんは、お嬢様の夜の仕事の仲間でした。両親を獣に殺され復讐の為に夜の仕事をするようになったそうです。
「…キュリアは、彼を殺すの?」
「当然でしょ?獣になって人間を襲ったんだからね。」
最初のコメントを投稿しよう!