お嬢様の憂鬱

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お嬢様は、早水先生を部屋に残され城の中を歩いて見物されていました。 「美夜様、血の洗礼を受けられた時から我等吸血鬼達の上に立つ女王になられたのです。貴女の敵は我等一族の敵ですよ。」 「吸血姫(きゅうけつき)…純粋な吸血鬼じゃなくても女王になる事を認められるの?」 「緋色の月夜に生まれた貴女は呪われし子供と言われましたが、赤子から貴女の力は吸血鬼一族が認める程のものでしたから問題ありません。」 「私の側近は、零央と珠樹と陸十だけでいいわ。私と彼を助けてくれた事は感謝するけど女王なんて器じゃないの。」 「我等は、主君無しには生きる存在等ありません。美夜様、お側に置いて頂けなくても主君としての事を受け入れて下さいませんか?」 「…私が全ての記憶を取り戻し貴方を必要とした時に決断するわ。それでいいかしら?」 「畏まりました。」 多少の不服はあるものの今はそれに従うとして、この城で吸血鬼達を纏めている彼はお嬢様に深々と頭を下げお辞儀をされました。 「懐かしいわね。何故、私の記憶は途切れているのか分からないわ。」 「…名前を言っていませんでしたね。私は、吸血鬼ファルゼスです。以後お見知りおきを。」 「貴方と零央は、私に忠実ね。」 「彼と私は、厳しい指導を上から受けていますからね。貴女に遣える者としての使命ですよ。」 「主人の命令には文句言わずに従う事って?(笑)」 「はい。逆らう事は主を裏切る事になりますからね。」 ファルゼスは、私と同じ様にお嬢様を守る役目を持つ者として選ばれました。彼と私は、喜んで引き受けました。 「美夜お嬢様、ファルゼス様狼が暴れだしました。」 「人間と獣の間で苦しんでるのね?」 「美夜様、彼を救うのであれは吸血姫としての力をお使い下さい。」 「彼の血を吸うのね?」 「はい。」 お嬢様は、早水先生の血を吸う事を選ばれました。 「グルル~美夜、俺を殺せ!」 「生きる事は辛い?なら楽にしてあげるわ。」 お嬢様は、吸血鬼の力を自然に解放され獣の早水先生を抱きしめ首に噛みつかれ血を啜られました。 ブシャッ 「美…夜…ぐあ~っ!」 床に倒れ苦しまれる早水先生をお嬢様は、見守られました。 「…獣を愛した報い…私は、彼を愛してはいけなかった。…獣は、敵なのに馴れ合ってしまった私は甘いのね。」 キリリ ガチャッ お嬢様は、早水先生に銃向けられました。
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