優雅なティータイム

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お嬢様は、早水先生におねだりをしているようです。そうでもしないと治まらないみたいで…聞いてる私は辛いです。 「…俺は、出来ない。今まで美夜に手をださなかったのはお前を獣にしたく無かったからだ。」 「…狼騎、私は人間じゃない気がするの。でも、どうして処女でいるのか自分でも分からないのよね?」 「…体にきくしかないようだな。」 「別れるの辛かったんだからね。その代償は高くつくわよ。狼騎、私を抱きしめて…」 お嬢様のいつにない甘い声で早水先生に囁かれました。私は、ただじっと耐えました。 「お嬢様に今必要なのは早水先生ですから…」 それから一時間後、私は要約中に通されました。お嬢様は、疲れ果てたのか眠ってらっしゃいました。穏やかな顔をして。 「手こずらせてくれた。毒は抜けたんだが、美夜の体を…」 「早水先生、お嬢様を抱かれたのですか?」 「…出来なかった。美夜は、人間じゃないな。」 「…はい。お嬢様は、吸血鬼伯爵と人間の女性の間に生まれました。」 「やはりそうか。回復が早いと思ったんだ。」 「お嬢様を引き取ってもよろしいですか?」 「ああ。美夜をよろしく頼む。」 「分かりました。お嬢様は、貴方をまだ愛していらっしゃる様ですが別れられて良かったのですか?」 「…今は何とも言えないな。用が済んだら美夜を連れて帰ってくれ。」 早水先生は、お嬢様と一緒にいるのが辛かったようです。私には、お嬢様と早水先生の間にある深い絆を感じました。 「…ん…零央?」 「お目覚めですか?早水先生に追い出されて家に帰ってるんですよ。」 「…そう。彼は、私に手をださなかったわ。お願いしてもダメだった。」 お嬢様は、早水先生を今でも本当に愛していらっしゃいます。 助手席で外を見ながら涙を浮かべてるお嬢様を見て私は心が痛みました。 「早水先生の事好きなのですね。」 「…私は、彼が獣でも良かったの。でも、彼は人間が嫌いだから…」 「早水先生は、お嬢様だけは特別な存在だったと思いますよ。お嬢様の願いを受け入れなかったのも大切に思われていたからだと思いますよ。」 「気休めはやめて。…体が熱い。」 「お嬢様?」 「血が煮えたぎるように体が火照ってくるの。ハァハア…零央、苦しい。」 私は、お嬢様が苦しむ姿を心配して車を近くの駐車場に止めました。 「お嬢様、しっかりして下さい。!これは…」
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