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季節は春。
並木通りには桜が咲き誇り、通り掛かる人々をピンク色の花びらが包み込んでいた。
人々はそんな桜を賞賛し、春の暖かい空気に包まれながらそれぞれの目的地に足を運んでいく。
そんな中、並木道を誰が見ても暗い空気を発していると分かる少年が、顔をうつ向かせながら歩いていた。
顔立ちは繊細でキレイだが、無造作に伸びた髪の毛がそれを隠している。
彼の名前はレイド・アルイエル。
この並木道を通り過ぎた所に存在するスワトリスル学園に通っている高等部の第一期生だ。
スワトリスル学園は世界中の強力な能力者達を集めた学園である。
ただその中で一人だけ無能力者がいた。
それが彼、レイド・アルイエルだ。
そもそもこの世界で能力を持たない者は、彼を除いて誰もいなかった。
彼は学園初の――いや、世界で初めてにして唯一の落ちこぼれだった。
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