13人が本棚に入れています
本棚に追加
◇
目が覚めた。
冬の朝だというのに、変に暑苦しい。寝返りをうってドアの方に向き直った――筈だった。一瞬、事態が飲み込めなかったが、目の前にあるのは顔だった。二宮の。
「…っうわぁ!!な…何してんだよ?!」
僕は椅子に画鋲を置かれた時のように(僕にはそういった経験は無いが)ベッドから跳び退いていた。
「……おはよ…。」
二宮がのっそりと体を起こすと、身に着けていたのは下着一枚だけだった。
「「おはよ。」じゃない!なんで一緒に寝てるんだ?!しかも裸で!」
「そんなに照れるなよ。」
二宮は寝ぼけまなこだ。
「照れてない!!」
「あはは。顔真っ赤。」
そう言うと、二宮はベッドから出て、あくびをしながらスラックスを穿き、ワイシャツを羽織った。
「始めはソファで寝てたんだけど、寒くてさ。丁度よく暖かそうなベッドがあったからそんで……。」
「…どうして脱いだ……。」
この間、僕の眉間には細かなシワが浮き沈みしていたことだろう。
ふと時計に目を遣った。
「うわ!!もう8時じゃんか!完全に遅刻だよ!」
「そんなら、行く必要はないぞー。……おぉ、ちゃんと自炊してるんだな。」
二宮は勝手に冷蔵庫やら棚やらを漁っている。
「…どういう事だよ……。」
「…ほえはー………ひおひあいーふ。」
「……分かりづらいから、あくびしながら喋るな。」
「ダメなんだよ。基本的に夜型だから朝に弱くて。……低血圧ってやつ?」
「……低血圧が朝に弱いなんて事は医学的に証明されてない。」
「え!そうなの!?」
最初のコメントを投稿しよう!