第1章 ~遭遇~

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     ◇    目が覚めた。    冬の朝だというのに、変に暑苦しい。寝返りをうってドアの方に向き直った――筈だった。一瞬、事態が飲み込めなかったが、目の前にあるのは顔だった。二宮の。   「…っうわぁ!!な…何してんだよ?!」    僕は椅子に画鋲を置かれた時のように(僕にはそういった経験は無いが)ベッドから跳び退いていた。   「……おはよ…。」    二宮がのっそりと体を起こすと、身に着けていたのは下着一枚だけだった。   「「おはよ。」じゃない!なんで一緒に寝てるんだ?!しかも裸で!」   「そんなに照れるなよ。」    二宮は寝ぼけまなこだ。   「照れてない!!」   「あはは。顔真っ赤。」    そう言うと、二宮はベッドから出て、あくびをしながらスラックスを穿き、ワイシャツを羽織った。   「始めはソファで寝てたんだけど、寒くてさ。丁度よく暖かそうなベッドがあったからそんで……。」   「…どうして脱いだ……。」    この間、僕の眉間には細かなシワが浮き沈みしていたことだろう。    ふと時計に目を遣った。   「うわ!!もう8時じゃんか!完全に遅刻だよ!」   「そんなら、行く必要はないぞー。……おぉ、ちゃんと自炊してるんだな。」    二宮は勝手に冷蔵庫やら棚やらを漁っている。   「…どういう事だよ……。」   「…ほえはー………ひおひあいーふ。」   「……分かりづらいから、あくびしながら喋るな。」   「ダメなんだよ。基本的に夜型だから朝に弱くて。……低血圧ってやつ?」 「……低血圧が朝に弱いなんて事は医学的に証明されてない。」 「え!そうなの!?」
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